消費者問題

通信販売の詐欺的な定期購入商法、送り付け商法について法律の規制が強化されたことを解説します

この記事を書いたのは:木下 敏秀

1 詐欺的な定期購入の悪質商法が増加しています

 現在、インターネット上には、「初回無料」「今だけ50%分が格安」「いつでも解約できます」等の宣伝をしているのに、実は、定期購入を条件としていたとか、解約条件が決まっていて解約できない等のトラブルが増加しています。

 詐欺的な定期購入商法では、あえて消費者が理解できないように宣伝したり、契約条件や解約条件が読み飛ばしやすい画面にしていることが多く、消費者の落ち度と思わせて、泣き寝入りになっている事例も多いようです。

 2020年の消費者庁の「定期購入に関する消費者生活相談件数の推移」の統計でも、詐欺的な定期購入商法の相談件数は急増しており、2015年の相談件数が「4141件」であるのに対し、2020年の相談件数は「56302件」であり、約14倍に急増しています。

2 特定商取引に関する法律の改正による規制の強化

 令和3年の特商法改正では、定期購入でないと誤認させる表示(定期性誤認表示)等ついて直罰化の規制がされます(第12条の6)

 定期購入でないと誤認させる表示によって申込をした場合に申込の取消を認める制度が創設されました(第15条の4)

 通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為が禁止となりました(第13条の2)

 上記の誤認させる表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加されました(第58条の19)

 この改正は、令和4年6月15日までの範囲で、政令で定める日に施行されます。

3 悪質な「送りつけ商法」の被害にも注意が必要です

 身に覚えがない商法が勝手に郵送されてくる「送りつけ商法」はネット購入の増加に比例してトラブルが増加しています。

 これまでは「送りつけ商法」の消費者が商品を開封して処分した場合には、悪質業者から高額な代金請求をされるというトラブルがありました。改正前の法律では、消費者は14日間の保管後処分が可能ですが、14日間の保管という負担がトラブルの原因にもなりました。

 全国の消費生活センターなどに相談された「送りつけ商法」に関する相談は、2020年度は約6600件と前年の約2倍に急増し、「マスクの送りつけ」等の新型コロナの影響に乗じたトラブルが増えているようです。

 例えば「荷物が届いたので開封するとマスクが50枚入っていた。中国語で書かれた商品合格証が入っていた。送り状には国内の事業者の名称と住所があるが、電話番号の記載がない」等の事例です。

4 2021年7月6日以後は商品をすぐに処分できます

 令和3年特商法改正にあわせて、消費者庁は「送りつけ商法」の対応3か条を発表しています。

⑴ 商品は直ちに処分可能

⑵ 事業者から金銭を請求されても支払は不要

⑶ 誤って金銭を支払った場合は返還請求ができます。対応に困ったらすぐ相談

 このような事例の場合には、証拠を残すため送り状商品等の写真撮影をしておくのが望ましいと思います。

5 消費者庁の資料を添付しますので参考にしてください。

資料3  特定商取引法・預託法等の改正について

6 消費者問題は旭合同法律事務にご相談ください

 旭合同法律事務所は消費者問題に対して経験豊かな弁護士が担当しております。

 悪質商法の問題もご相談の事案に則したケースバイケースの分析が大変重要になります。

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この記事を書いたのは:
木下 敏秀