消費者問題

落とし物や忘れ物を拾ったときは、どうすればいいのでしょうか?

1 落とし物をしたり、忘れ物をしたりすることは、誰にもあります。

  春日井市に住んでいるAさんは、春日井市内の北部に最近オープンした大型量販店へ買い物に来ました。エスカレーターで3階まで上がって通路を進んでいると、ベンチに折りたたみ傘が置いてあるのに気付きました。周囲に傘の持ち主らしい人が居ると思って見渡しましたが、それらしい人は見当たりません。誰かの忘れ物だと思ったAさんは、どうすればいいのでしょうか?

 今回は、忘れ物や落とし物を見付けた場合は、どうすればいいのか。落とし物を届け出た後の流れについて説明します。

2 忘れ物や落とし物を見付けたら

  忘れ物や落とし物など、本人の気付かないうちに手元から離れてしまった物は、占有離脱物とか遺失物と呼ばれます。忘れ物や落とし物を拾ったときの手続きや返還手続きなどは、遺失物法という法令に細かく定めてあります。

 忘れ物や落とし物を見付けた場所がどのような場所かによって、その後の手続きが違ってきます。

3 特定の施設の中で見付けたとき

(1) 病院や店舗、デパート、遊園地などの構内や電車・バス・タクシーなど特定の施設で忘れ物や落とし物を見付けた(拾った)ときは、速やかに店員や駅員、バス運転手などに届け出てください。

 落とし物を拾ってから24時間以内に届け出ない場合は、落とした人(遺失者)が判明したときのお礼(報労金)を受け取る権利や、落とした人が判明しなかったときに、その物件を受け取る権利がなくなります。

(2) 届出を受けた施設の管理者は、届出の内容と物件を警察署に提出します。しかし、都道府県の公安委員会から指定を受けた施設の占有者は、届け出た人(拾得者)から届出を受けて2週間以内に、拾得物件についての事項を警察署に届け出た場合は、その拾得物を自ら保管することができます。

 届け出られた拾得物件を指定施設の占有者が自ら保管する場合は、拾得物に関する事項を施設内に掲示し、又は拾得物に関する事項を記載した書面を備え付けて、閲覧できるようにしておく必要があります。

 また、特定施設の占有者は、拾得物の届出を受けたとき、拾得者の求めに応じて預かり書を交付しなくてはいけません。

(3) 拾ったときの届出をしないで、自分の持ち物にして使ったり、勝手に処分すると犯罪行為(占有離脱物横領罪)ですから、処罰を受けます。

4 道路や公園などを落とし物を拾ったとき

 

(1) 道路や公園などで落とし物を拾ったときは、速やかにその物件を落とした人に返すか、落とした人が判らない場合は、警察に届け出ましょう。届出先は最寄りの警察署、交番、駐在所です。

(2) 落とし物を拾った日の翌日から起算して7日以内に警察へ届出ておかないと、落とし主が判明したときのお礼(報労金)を請求する権利や、落とした人が判明しなかった場合の拾得物件を受け取る権利がなくなります。

(3) 拾った物を届け出ないでネコババすると占有離脱物横領の罪で処罰されます。

5 落とし物が届け出られた後の流れ

(1) 交番や駐在所で届出を受け付けた拾得物は、その翌日には警察署へ引き継がれ、以後3か月間は警察署で保管されます。

(2) この保管期間中、警察は落とした人(遺失者)を探すため公告をしたり、インターネットのホームページに拾得物の情報を公表し、関係機関への照会・調査を続けます。

(3) ただし、衣類とか傘など大量に安い価格で出回っていて、保管に不相当な費用がかかる物件は、公告の日から2週間以内に遺失者が判明しないときは、売却処分して換金する場合もあります。その場合は、売却された代金額が遺失物とみなされます。

6 落とした人が判明したとき

(1) 忘れ物をしたり落とし物をした人(遺失者)が判明すると、警察はその物件を遺失者に返還します。返還されると、警察は、落とし物を拾って届け出ていた人(拾得者)に、そのことを通知します。

(2) 忘れ物や落とし物を見付けて届け出ていた人(拾得者)は、落とした人(遺失者)に対してお礼(報労金)を請求することができます。この報労金を請求できる期間は、遺失物が返還されてから1か月以内です。

(3) 報労金を請求するかどうかは、拾得者の自由です。請求できる報労金の額は、遺失物の価格の5%~20%の範囲内です。

 特定の施設内で発見して届け出た場合は、届出を受けてその物件を保管していた施設と拾得者の折半になりますから、拾得者が請求できる報労金は、遺失物の価格の2,5%~10%の範囲になります。

(4) 警察は、報労金の請求に関与しないため、報労金の額や受取り方法は、物件の拾得者と遺失者との話し合いで決めることになります。

(5) 拾得者が届出や保管に要した費用があれば、その金額を遺失者に請求することができます。この費用を請求できる期間は、遺失物が遺失者に返還されてから1か月以内です。

7 落とした人が判明しないとき

(1) 落とし物を拾って届け出た人(拾得者)は、届け出た後3か月以内に落とした人(遺失者)が判明しないときは、その物件の所有権(受け取る権利)を得ます。

 受け取るときは、届け出たとき交付された取得物件預り書に記載されている引き取り期間(通常は2カ月)以内に、警察署へ行きます。

 その際、取得物件預り書と本人確認のため運転免許証、パスポートなどを持参してください。

(2)引き取り期間の2か月を過ぎると、遺失物の所有権は都道府県に移ります。

(3) 法令によって所持が禁止されている物件(例えば、違法薬物など)や、クレジットカード、携帯電話など個人情報が記載されている物件は、個人情報保護の観点から拾得者には所有権が移りませんから、3か月を過ぎても受け取れません。

8 拾得者が警察署へ拾得物を受取りに行くのが困難なとき

 (1) 春日井市に住んでいるAさんは、旅行先の北海道で落とし物を拾って当地の警察へ届出ました。それから3カ月が経過しましたが、その物件を保管している北海道の警察署まで春日井市から受け取りに行くには時間と費用がかかり、行くのが困難です。

(2) このようなときは、その物件を保管している警察署から送ってもらうことができます。その送付にかかる費用は、春日井市に住むAさんの自己負担になります。

(3) 送付による受取りを希望するときは、物件送付依頼書に送付先や送付方法を記載して、別途に用意する落とし物の受領書と、送付に必要な送料を添えて、遺失物を保管している警察署へ郵送などの方法で送ってください。

9 犬や猫を拾ったときも警察署へ届出ればいいのかな?

(1) 拾った犬や猫に首輪が付いていれば、人に飼われているペットの可能性があります。飼い主にとってはペットも財産ですから、首輪が付いている猫を拾った時は、一応最寄りの警察へ届出ておきましょう。

 一方、首輪を付けていても野良猫化している場合もありますから、最寄りの保健所にも届け出ておいた方が賢明です。

(2) 首輪を付けていない犬や猫は、買主のいるペットかどうかはっきりしません。所有権が誰か分からない犬や猫は、動物愛護法によって都道府県が引き取ることになっています。そのため、警察へ届出る遺失物には該当しません。このようなときは、最寄りの保健所へ届出てください。

10 自宅にあると思われる預金通帳が見つからないとき

  自宅にあるはずの預金通帳は、自宅のどこかにあるが、今はそれが何処か分からないに過ぎませんから、占有を離れた物とは言えません。

 言い換えると、持ち主の占有する場所のどこかに有る物件ですから、遺失物法の対象になりません。そのため、警察へ遺失物の届出をしても、受理されません。