クレジットカードの盗難や紛失をした場合の不正利用について色々と教えます
この記事を書いたのは:木下 敏秀
1 会員規約による会員保障制度があります
一般的なクレジットカードにはカード会社の会員規約に「会員保障制度」が存在します。
この「会員保障制度」は、クレジットカードの会員が盗難や紛失によってクレジットカードとの不正利用の被害を受けた際、一定の要件のもとに、会員の損害を補償する制度です。
一定の要件としては大部分のカード会社では
① カードの盗難・紛失の事実をカード会社に届出する
② カードの盗難・紛失の事実を警察署に届出する。
③ カード会社の要請する必要書類を提出する。
④ 本人でない第三者によって不正利用されたと判断できること
⑤ カード会社が届出を受理した日の60日前以降に発生した損害に限る
等の要件が主な要件です。
2 会員保障制度の補償対象外になる事例がありますので解説します
カード会社の会員保障制度の補償対象外となるのは以下のような例になります。
① 会員の故意または重大な過失に起因する損害
例えば、暗唱番号の管理が杜撰である場合やクレジットカードの裏面の書面欄の不備等の場合がありえます。
② 会員の家族、同居人、カード会社から送付したカードの受領代理人による不正利用に起因する場合
③ 盗難・紛失や被害の届出が虚偽であった場合
④ 会員が届出事項の変更の義務を怠った場合
カード・暗唱番号の管理は非常に重要ですので、安易な簡易は損害の補償対象外になることがありえます。十分に注意が必要です。
3 家族等による不正利用の場合でもカード名義人の責任が免責となる場合もありえます。
家族等がカードを不正利用した場合には、カード会社の会員保障制度の補償対象外になります。
そのためカード名義人は不正利用額について支払義務がありますが、例外となる場合もあります。
【札幌地裁平成7年8月30日判決】
夫が無断で妻のカードを利用して買い物をした場合について、加盟店は本人であるかについて疑問がある場合にはその旨を確認すべき義務があり、これを怠った加盟店を履行補助者の過失として5割の過失相殺をした。カード名義人は5割の範囲で支払をする責任があるとしたものです。
【名古屋地裁平成12年8月29日判決】
カードが無断で使用された場合において、加盟店としては署名の同一性を比較することにより、カード利用者がカード名義人でないことを容易に知ることができ、カードの不正利用を防ぐことが可能であったとして、カードの無断利用のうち2分の1については権利の濫用として許さないとした。
これも2分の1の範囲で支払をする責任があるとしたものです。
【京都地裁平成25年5月23日判決】
未成年の子が親のカードを盗み、キャバクラで高額な不正利用をした場合において、未成年者の風俗営業店との接客契約は公序良俗に違反すること、風俗営業店が未成年であることを知り又は知り得たことから公序良俗違反行為に対する寄与度が大きいこと、本人確認が不十分であること等の事情から約550万円の請求のうち約480万円分についてカード会社の請求が権利の濫用になるとして親の支払義務を否定しています。
この案件はキャバクラ店にて一晩で250万円を超える利用がある等の異常な案件でもあるので納得です。
4 クレジットカードを含めた消費者問題は旭合同法律事務にご相談ください
旭合同法律事務所は消費者問題に対して経験豊かな弁護士が担当しております。クレジットカードの不正利用の問題もご相談の事案に則したケースバイケースの分析が大変重要になります。
旭合同法律事務所では消費者問題に関する実例研究も重ねております。旭合同法律事務所の弁護士に早めにご相談ください。
こちらもご覧ください関連記事
この記事を書いたのは:
木下 敏秀