労働問題

会社主催の忘年会での事故は労災保険の対象になるのか等、労災保険法の対象の問題について様々な解説をします

1 労災保険法の対象となるためには「業務上の災害」の認定が必要です

労災保険法に基づく労災保険給付は「業務上の災害」であることが支給要件となります。

「業務上」の判断には「業務遂行性」「業務起因性」の双方の要件を満たすことが必要となります。

 業務遂行性とは、労働者が事業主の支配ないし管理下にある中でという意味で、具体的な業務の遂行中ということではありません。

 業務起因性とは、業務または業務行為を含めて労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められることという意味になります。

2 会社主催の忘年会での事故は「業務上の災害」と判断できるか

 【名古屋高裁金沢支部昭和58年9月21日判決】

過去の裁判例では、使用者が主催して懇親会等の社外行為を行うことが事業運営上緊要なものと認められ、かつ、労働者に対して参加が強制されている場合に限り、労働者の社外行事への参加が業務行為になると判断しています。

この裁判例を前提にすれば、

① 会社主催の忘年会が事業運営上緊要であって、

② 労働者が忘年会への参加が強制されている場合

は「業務上の災害」と判断されるといえます。

そのため、「会社が費用負担せず、主催していない場合」等については、「業務上の災害」と判断することは難しいと思われます。

3 職場での喧嘩は「業務上の災害」と判断できるか

 【新潟地裁平成15年7月25日判決】

 過去の裁判例では、暴行が労働者(被災者)との私的怨恨または労働者(被災者)による職務上の限度を超えた挑発的行為若しくは侮辱的行為等によって生じたものであるなど、もはや労働者(被災者)の業務とは関連しない事由によって発生したものであると認められる場合を除いて、「業務上の災害」と認めると判断しています。

4 出張先の事故は「業務上の災害」と判断できるか

 【福岡高裁平成5年4月28日判決】

 労働者(被災者)が出張の業務終了後、宿泊場所で同僚と飲食した後、建物の踊り場で倒れていることが発見され、その後自力で起き上がって就寝しましたが、朝に異常が発見されて急性硬膜外血腫で死亡した事案があります。

 裁判所は、労働者が足を踏み外して転倒し、本件事故に至ったものと推測し、労働者は、出張の全過程において事業主の支配下にあり、宿泊所内での慰労と懇親のための飲食は、宿泊に通常随伴する行為であるとして、業務起因性があると判断しています。

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