相続に強い弁護士による遺産相続の解決事例③
この記事を書いたのは:田中 伸明
夫の相続で、夫と先妻の間のお子さんから相続分の譲渡を受けることによって、夫の遺産を全て取得できることができました
(ご相談の内容)
亡ご主人様(以下、被相続人といいます)の遺産相続について奥様(以下、ご相談者様といいます)からのご相談です。遺言書はなし。遺産は自宅マンションと預貯金数百万円。ご相談者様が自宅マンションの名義変更をするため司法書士に相続登記手続きを依頼したところ、司法書士から「ご主人様と先妻との間にお子さんが2人(以下、相手方らといいます)いらっしゃいます。相手方らも相続人なので、マンションの名義変更をするためには相手方らからも登記手続きに必要な書類を取り付ける必要があります」との連絡が入りました。ところが、ご相談者様は相手方らの存在すらも知らず、当然会ったこともありません。見ず知らずの相手方らに遺産を分けたくないのですが自分では話ができません、とのご相談。そこで、ご相談者様からウェブサイトを通じてご依頼を頂き、相手方らと交渉することになりました。
(解決内容)
見ず知らずの相手方らにはできれば遺産分けをしたくないというご相談者様の意向を受け、相手方らから「相続分の譲渡」を受けるという方針を立てました。そこで、当職から、相手方らに対し、「被相続人の遺産はご相談者様が長年に渡ってご主人様と苦労を共にして築いてきた財産である」ことを訴え、相続分を譲渡してほしい旨のお手紙を送りました。相手方らからは特に異議もなく、相続分譲渡に必要な書類をご提供いただくことができ、無事にご相談者様が全ての遺産を取得することができました。ご相談者様には大変に喜んでいただくことができました。
(弁護士のコメント)
今回のケースでは、遺産分割協議書の中で相手方に相続を放棄してもらうという方法もありましたが、相手方が複数名で、相続についての対応が異なる場合があることから、ベストな方法として各人から相続分譲渡を受ける手法を選択しました。今回は相手方らが相続分譲渡に応じてくれたので良かったですが、当然、相続分の取得を主張されるケースもあります。相続人調査をした際に思ってもみなかった相続人が判明することは決して珍しいことではありません。このようなケースでは大切な家族が揉め事に巻き込まれてしまいますので、家族信託の設定や遺言書を作成しておくことを強くお勧めしています。
この記事を書いたのは:
田中 伸明