財産管理

祖父から孫に教育費を贈与する場合の税金はどうなりますか。

この記事を書いたのは:高橋 寛

【相談内容】
離婚した長女が子2人(私からは孫)と一緒に実家の私方で暮らしています。このたび上の孫が大学の推薦入試を受け、合格すると年内に約150万円の入学金を納付しなければならず、長女に資力がないため祖父の私が出してやる予定です。贈与額が年間110万円を超えますが、贈与税はどうなるか心配です。

   

【弁護士からのアドバイス】
◎ 直系血族及び兄弟姉妹はお互いに扶養義務があります(民法877条)。ましてや祖父と孫が一緒に暮らし生計を一にしている場合ですから、通常必要と認められる教育費に充てるために渡す(贈与する)お金(財産)は、扶養義務の一環となり贈与税の課税対象ではありません(贈与税法第21条の3第1項2号)。祖父が孫の大学入学金を出してやるのは、扶養義務を履行することに当たりますから、贈与税はかかりません。

◎ 贈与税の課税対象にならない教育費に当たるのは、子や孫の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具類、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費などが含まれます(相続税基本通達21の3-4)。この場合の教育費は、義務教育にかかる費用に限りませんから、高校や大学での教育費も通常必要なものであれば贈与税はかかりません。

◎ 祖父母から孫のために出してやるお金が扶養義務としての教育費であることを明確にしておくためには、教育費が必要になる都度、必要な額を祖父母から孫の口座に振り込んで、その口座から直接教育費の支払先(例えば大学)の口座に振り込むか引き落としにするのが安全です。

◎ 非課税の教育費は、贈与税基礎控除額の110万円に含める必要はありません。そのため、教育費とは別に財産を贈与しても、その額が年間110万円の範囲内であれば、やはり贈与税は課税されません。

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この記事を書いたのは:
高橋 寛