離婚しても、二人で子育て? 2026年に変わった「親権」のルール
この記事を書いたのは:前田 大樹

「離婚したら、子どもはどちらか一方の親が育てるもの」。
そんなイメージを持っている方は多いと思います。実際、これまでの日本の法律では、離婚した後の親権者は、父か母のどちらか一人に決めなければなりませんでした。
ところが、2026年(令和8年)4月から、このルールが大きく変わりました。離婚した後も、父と母の二人がそろって親権者になる、という選び方ができるようになったのです。
「自分には関係ない話」と思うかもしれません。でも、結婚や離婚は誰にでも起こりうること。知っておいて損はないテーマです。

■結論
今回の改正のいちばんのポイントは、次の3つです。
- 離婚後の親権を「父母の二人(共同親権)」にするか「どちらか一方(単独親権)」にするか、選べるようになった
- 養育費(子どもの生活費)を受け取りやすくする仕組みが新しくできた
- ただし、暴力(DV)や虐待のおそれがある場合は、無理に二人を親権者にはしない
つまり、「子どもにとって何がいちばんよいか」を中心に考えられるよう、選択肢を増やした改正だといえます。
■1.そもそも「親権」って何?
「親権」という言葉は少し難しく聞こえますが、簡単に言うと「子どもの世話をしたり、子どものお金や財産を管理したりする、親の役割」のことです。
たとえば、子どもの進学先を一緒に考えたり、子どもの預金口座を作ったりするのも、親権にもとづく行為です。今回の改正では、この親権は「子どもの利益のために使うもの」だと、あらためてはっきり書かれました。親の都合ではなく、子ども本人のために、という考え方です。
■2. これまでと、どう変わったの?
これまでは、離婚するときに「親権者は父だけ」「親権者は母だけ」と、必ずどちらか一方に決める必要がありました。
これからは、話し合い(協議)によって、父母の二人を親権者にすることも、一方だけにすることも選べます。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所が、家族の状況などをみて決めます。
注意したいのは、「共同親権だからといって、毎回二人で相談しないと何も決められない」わけではない、という点です。食事や服装、習い事、短い旅行といった日々のことは、一方の親が一人で決めてかまいません。一方で、引っ越しや、進路に大きく関わる進学先の決定などは、原則として二人で決めることになります。
■3. 養育費が、受け取りやすくなった
離婚後によくある悩みが「養育費が支払われない」という問題です。
これまでは、約束していた養育費が払われなくても、相手の財産(給料など)を差し押さえる前に、裁判所での手続きが別に必要でした。今回の改正では、父母で作った取り決めの文書があれば、その手続きを省いて差し押さえに進めるようになりました。
さらに、養育費の金額をまだ決めていない場合でも、ひとまず子ども一人につき月2万円を請求できる「法定養育費」という仕組みもできました。これは、きちんとした金額を決めるまでの「つなぎ」のための制度です。
■4.危ないときは、無理に二人にしない
「相手から暴力を受けていたのに、共同親権を強いられたら…」と不安に思う方もいるかもしれません。
その点はしっかり守られています。虐待のおそれがあるときや、DVなどで二人そろって親権を使うのが難しいと認められるときは、家庭裁判所は必ず単独親権にすることになっています。これは、殴る・蹴るといった身体的な暴力に限られません。
【具体例】
- ケース1:協力して子育てを続けたい元夫婦。話し合って共同親権を選び、平日は母、週末は父が子どもと過ごす、と決めた。
- ケース2:相手から暴言や脅しを受けていた人。家庭裁判所が事情をみて、単独親権と判断した。
- ケース3:離婚したものの養育費の金額をまだ決めていない人。とりあえず月2万円の「法定養育費」を請求し、その後あらためて話し合って正式な金額を決めることにした。
【注意点】
よくある勘違いを、いくつか整理しておきます。
- 「すでに離婚した人も自動で共同親権になる」わけではありません。 改正前に離婚して単独親権になっている場合、自動的に共同親権へ変わることはありません。変更したいときは、家庭裁判所への申し立てが必要です。
- 共同親権=半分ずつ一緒に暮らす」ではありません。 親権は「役割」の話で、どちらと一緒に暮らすか(同居)とは別の問題です
- どちらを選ぶべきかは、家庭ごとに事情が異なります。 どんな場合に共同親権が認められるかは、まさにケースバイケース。ここで「あなたはこうすべき」と断定することはできません。
- 財産分与(夫婦で築いた財産を分けること)を家庭裁判所に求められる期間も、離婚後2年から5年に延びました。あわせて覚えておくとよいでしょう。
【まとめ】
- 2026年4月から、離婚後の親権を「父母の二人」か「一方だけ」か選べるようになりました。
- 日々のことは一方が決められ、引っ越しや進学など大事なことは原則二人で決めます。
- 養育費を受け取りやすくする仕組み(差し押さえの簡略化、月2万円の法定養育費)ができました。
- DVや虐待のおそれがあるときは、無理に共同親権にはせず、子どもの安全が優先されます。
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この記事を書いたのは:
前田 大樹