交通事故

歩道を歩く時の注意事項を解説します。

この記事を書いたのは:高橋 寛

歩行者同士でぶつかって怪我をさせ、損害賠償の判決を受けた事例があります。

 歩道を歩いて登校中の中学生は、前を歩いていた4人の生徒を追い抜こうとしたとき、対向してきた歩行者の女性とぶつかりました。

 女性は、尻もちをつくように倒れて腰の骨を折り、入院しましたが、退院した後も腰を曲げにくくなるという障害が残りました。

 女性は、骨折による後遺症が残ったとして、中学生に対し、1150万円の損害賠償を請求する訴訟を起こしました。

 裁判で、中学生は「普通の速さで歩いていた。」と主張して、過失を否認しました。

 大分地方裁判所は、令和3年3月15日、「歩道は幅2・2メートルしかなく、歩行者同士が衝突する危険性があったので、中学生には、追い抜く際に歩行者の有無や安全に十分注意を払う義務を怠った過失がある。」として、中学生に約970万円の支払いを命じる判決を宣告しました。

ポイント① 歩道を歩くときは他の歩行者との安全に留意しましょう!

 歩道は多くの歩行者が利用する場所ですから、前を歩いている人を追い越す場合もあります。

 歩道の幅にもよりますが、前の人を追い越す際は、対向してくる歩行者がいるかどうか、その対向者にぶつかる危険性があるかどうか十分注意する必要があります。

 周囲の歩行者との安全を十分に確かめないで、不用意に追い越すと対向して来る人とぶつかる危険性があります。

 これからは梅雨の季節に近づきますが、雨降りで傘をさしているときは、すれ違う人との安全確認だけではなく、前を歩いている人の傘と自分の傘が触れないように細心の注意が必要です。

 うっかり相手の人にぶつかって怪我をさせると、過失による不法行為として損害賠償の義務が発生します。

 相手の人が転倒しないまでも、ぶつかったことで口論になったり、喧嘩になったりする場合があります。

 このようなトラブルが起きると、せっかく先を急いで歩いていたのに、かえって予想外の時間がとられ、失われるものが大きい割に得るものは何もありません。

ポイント② ときには足元にも注意を向けましょう!

歩道にも色々なトラブルの原因になるものがあります。例えば、春日井市内や小牧市内でも、街路樹の根っこによって歩道の表面が盛り上がっていたり、部分的な補修工事のため段差があるのを見かけます。歩道上に凹凸があると、雨が降ると水たまりができまるため、その水たまりを避けながら歩かなければいけません。また、踏むと滑りやすい物が歩道に落ちている場合もあります。

 坂本九のヒットソングに「上を向いて歩こう」がありますが、歩道を歩く際に上ばかり見ていると、歩道上の凹凸や段差につまづいたり、落ちていた物を踏んで足を滑らせたりしかねません。

 そのため、歩道を歩く際は足元にも目を向けて、つまづいたり滑ったりというトラブルに巻き込まれないよう留意しましょう。

交通事故の問題は、旭合同法律事務所春日井事務所にお任せ下さい。


この記事を書いたのは:
高橋 寛