会社経営

廃業支援としての経営者保証ガイドラインの活用事例①(金融庁HPより)

この記事を書いたのは:田中 伸明

早期に債務整理に着手することで、配当見込み額が増加し残存資産が残せた事例


1.整理の申し出を行うに至った経緯・状況等


・建築業者である当社は、取引先からの受注低迷で事業の継続が困難な状況となっていたが、経営者とその配偶者(旧取締役)が多額の保証を行っていたため、事業の整理を決断することができずにいた。


・銀行から、「経営者保証に関するガイドライン」を活用した場合、「早期に債務整理に着手した場合は一定期間の生計費等が残存資産に含まれる可能性があること」や「履行請求額には基準日以降の収入が含まれないこと」等を説明したところ、ガイドラインを活用したいとの申出あり。

2.当該整理の具体的内容

・主債務(会社の債務)の早期整理と同時にガイドラインに基づく保証債務の整理に着手した結果、配当見込額が増加し、保証人に資産を残せることとなった。保証債務の整理は特定調停手続を活用した。


・保証債務の整理の概要は以下の通り。
主債務者は、破産申立により整理を行った。将来的に破産を申し立てた場合の配当見込額は0であるところ、早期に整理を行うことにより3000万円の破産配当が行われることとなり、債権者にとっての経済合理性が認められた。


・経営者は、資産を保有しておらず、保証債務全額を免除することとした。


・経営者の配偶者は、400万円の資産のうち自家用自動車1百万円相当と生計費200万円、計300万円を残存資産とし、残額 100万円を弁済し、残存する保証債務について債務免除を受けることとなった。


・経営者および配偶者は保有する資産の内容を開示し、その正確性についての表明保証を行い、支援専門家である弁護士はその適正性についての確認を行っている。

早期決断が重要です

今回の事例では、早期に廃業を決断したことにより、債権者に弁済できる資産が会社に3000万円残すことができ(数年後に破産した場合の弁済見込額は0円でした)、その結果として、経営者は400万円の資産のうち300万円もの資産を残すことができました(破産の場合は99万円までしか残せません)。

このように経営者個人が資産をできる限り多く残し、経済的再生を図るためには、出来る限り早期に決断をすることが重要となります。

弁護士に相談すると破産以外の選択肢がないというイメージがあるかもしれませんが、むしろ、早期にご相談いただくことによって、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理はもちろん、事業承継を含めた選択肢が広がることもございます。

相談は電話、面談を問わず、何度でも無料で行わせていただきますので、事業の廃業等について悩まれている経営者様がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。当事務所が全力でサポートさせていただきます。


この記事を書いたのは:
田中 伸明